【大会参加レポート】第32回日本山岳耐久レース(ハセツネCup)
2024年10月13日(日)〜14日(月・祝)、憧れのハセツネに初参戦して参りました。
噂に違わぬ過酷なレースでしたが、何とか無事完走!
走力もさることながら、装備など、その他の要素も成否に大きく影響します。レースレポートに加え、管理人がどのように準備し、臨んだかについても綴っていきますね。
日本山岳耐久レース(ハセツネCup)について
「ハセツネ」の方が耳慣れていますが、この大会の正式名称は「日本山岳耐久レース」です。
とても歴史のある大会で、本年2024年で実に第32回を数えます。
間違いなく日本のトレランレースのパイオニア、といってよいでしょう。そもそも30年前だとトレイルランニングって言葉が無いっすよね、多分。
総距離71.5km、累積標高差4,582mというだけで充分走り応えがありますが、ハセツネには更に、他のレースにはない大きな特徴が2つあります。
1.エイドなし・給水ポイント1箇所のみ
第2関門の月夜見駐車場(約42km地点)で1.5リットル(500mlペットボトル3本)までの給水を受けられますが、いわゆるエイドというものはなし。食べ物とか、必要なものは全て自分で持って走りましょうという登山スタイル。
ちなみに、他の大会でよくある必須携行品、みたいなのも一切ありません。自由と責任は表裏一体。
重いと辛いし、水が切れたらDNF直結だし、何をどのくらい持つかはランナーによって千差万別。非常に悩ましいところです。
2.夜間走行必須
スタート時間が13時なので、トップランナーでも必ず日没後の走行が発生します。
そんなハードなレースにも関わらず、非常に人気が高いのもこの大会の特徴。定員2,000人があっという間に埋まります。
・制限時間が24時間と比較的緩めなので、止まらず歩き続けられれば完走できる
・毎年基本的にコースが変わらないので、自身の力量変化を測定できる
・アクセス良好、関東からの参加であれば、基本前泊不要
あたりが人気の秘訣かと。
エントリー開始日をしっかり確認し、まずはクリック合戦という0次関門をしっかりクリアしましょう。
春に行われるハセツネ30kで頑張っておいて、優先エントリー権をゲットしておければ安心です。
レース前
試走
管理人のこれまでの最長トレイルレースはFun Trailみなのの50km。
若干不安があったので、都内住みの利点を活かし、大会前1ヶ月は毎週武蔵五日市まで出向き、計3回の試走を重ねました。
都内といっても、品川からだと片道2時間以上かかるのでなかなか大変でしたが、ロストしやすい所、危険箇所、トイレ、水場(月夜見以外にも自然湧水ポイントあり)を自分の目で確認ができたのは安心感につながりました。
可能な限り試走はしておいた方が良いかと思います。
今回は行けなかったけど、スタートから数馬の湯あたりを目指して走り、のんびり入浴後バスで帰ってくる、なんて試走もアリではないかと。
装備
そんなこんなでいよいよレース前日となりました。装備を決定しなければいけません。
最も悩むのはやはり水分量。うーむ、どうすべきか。
TrailFlowによる算出だと、月夜見まで7時間20分ほど。(管理人のPIは522)
今年の天気は良く、暑くもなく寒くもなくちょうど良い感じという予報。
試走の時は結構暑かったけど、多くても1時間に350mlほどの消費。
とすると・・・
350 ×7時間≒2.5リットル
ってところかねぇ・・・まぁ、これで行ってみましょう。(結果、ちょっと余りでほぼ計画通りでした)
その他の装備は以下の通り。
・Tシャツ
夜でも目立つ?チームT。普通のやつ笑
・マルチポケットパンツ
愛用のミズノ。持ち物が多くなるのでポケットは多いほど便利かと。前面2つにある大きめのポケットはスマホとゴミ入れに使い、役立ちました。長丁場のレースだと、ジェルとか補給食のゴミがどうしても多くなりますからね。
・バフ
一応帽子も持っていきますが、雨も日光も心配ないようならこいつで。防寒兼用。
・アームカバー
赤羽ハーフマラソンの参加賞。
・グローブ
直前にポチった無名メーカーの商品ですが、親指と人差し指が出ていてスマホ操作に便利でした。
・カーフスリーブ
って言うんだっけ?これ笑
疲労防止というよりは、膝下地肌ガード目的です。試走の時岩にぶつけまくったんで。
ワークマンで580円とお値打ち価格。
・ソックス
信頼のYAMAtune5本指。ワセリン塗り込みと合わせて使えばマメ知らず。
・シューズ
履き慣れたもので、というと聞こえは良いですが、今これしかトレランシューズ持っとりません笑
・バックパック
サロモンのADV SKIN12。容量は丁度良し。中身は後述。
・ポール
レースでは久しぶりの登場。
・ポールケース
今回新調したひとつがこれ。サロモンのCustom Quiverです。
管理人は下りではポールを余り使いたくないので、出し入れの機会が多いかと思い購入しましたが、大正解でした。
バックパックを下ろさず出し入れできるのはストレスフリーでしたね。
価格も安いので、サロモンバックパック使いの方には是非おすすめです。
続いてバックパックの中身。
・レインウェア上下
上下ともワークマン調達品。だって安いんだもん。
これでもちゃんとシームテープ加工されており、最低限の防水機能は満たしていますよ。
・モンベル EXライトウィンドパーカ
肌寒い時の体温調整用に。なお、レインウェアとライトウィンドパーカはポリ袋に収納します。
・フラスク500ml×2
スポドリと麦茶を1本ずつ。
・Platypusハイドレーション2l
ロクテインを溶かした水を1.5l背負います。フラスクと合わせ2.5l。
・行動食
本当はおにぎりとか食べたいけど、容量とるし重たいからね・・・
カロリーメイト2袋、エネ餅×2、スポーツ羊羹×2、ライスピュレ で。
・ジェル
飽きないように色々な種類を。
メダリストアップル、メダリストコーヒー×2、オレは摂取すグレープ、オレは摂取すピーチ、GUリカーエナジーオレンジ、マグオンピーチ、コーダマンゴーパッション、メダリストカフェイン200
・ヘッドライト
レッドレンザーのMH4。USB充電と単3乾電池の両方が使用可能。予備電池を2本携帯。
ハイパワーモードで400ルーメンとかなり明るくなりますが、そうすると4時間しか持ちません。基本ローパワーで使いました。
・ハンドライト
ヘッドライトだけだとちょっと心許ないと思ったので、直前にAmazonおすすめのこいつをポチりました。
これが大正解。ヘッドライトとの2灯体制にすると安心感が全く違います。
・ファーストエイドキット
・熊鈴
ランナーたくさんいるので使うことはないと思いますが、念の為。
後はこれ。
新しい相棒で、レースへは今回初投入です。
【あなたじゃなきゃ】今、GARMIN epix Pro(Gen2)51mmを購入した4つの理由【ダメなの】
大容量バッテリー搭載で長時間稼働も安心・・・のはずですが、まさかのバッテリー切れ起こしました笑
まぁこれは原因がはっきりしております。後ほど。
その他、ロキソニンや使い捨てコンタクトの予備レンズを隅っこに入れておきました。
目標
全然見当がつかん・・・
一応、第1目標:12時間、第2目標:13時間としますが、ぶっちゃけ無事完走できれば良いです。
レースレポート
スタート前
というわけでいよいよ当日。天気は快晴、最高気温は25度を超える季節外れの夏日です。
暑いくらいですが、雨で路面ドロドロよりは100倍マシです。絶好のハセツネ日和と言っても良いでしょう。
まずは動線に従い進み、受付を済ませます。今年の参加賞は手ぬぐいとビクトリノックスのマルチツールでした。
その後着替え陣地設営。着替え場所はゼッケン末尾番号で割り振られ、管理人は中学校体育館でした。10時半ころに到着しましたが、既に多くの人が。準備しながらコンビニ弁当を食します。
11時半にはびっしり床が埋まる感じだったので、落ち着いて準備するには早めに来たほうが良いでしょう。
体育館脇にはトイレもあり、とても便利です。
準備完了、スタート地点へ向かいます。
校庭で行われた開会式では、過去の大会における事故の話があり、身の引き締まる思い。
自分だけでなく、周りも迷惑をかけてしまうことにもなりかねませんからね、気をつけて行かねばいけません。
晴れ渡る空の下、いよいよスタートです!
スタート〜第1関門(浅間峠・22.66km)
まずはロード。Aブロックスタートということもあり、スイスイ進みます。
変電所横を過ぎ、今熊神社から山へ。
案の定路面は乾いており、コースコンディションは良好。下りで滑るの怖いんで安堵。
順調に歩を進めること2時間半。何やら騒がしい。
おぉ、これが噂に聞く醍醐丸の応援ですか。
16:50、浅間峠に到着。
ここでは仮設の簡易トイレを設置してくれています。ありがたく使用させていただきました。
使用後、凝固剤を撒くスタイルの簡易トイレですが、ランナーの皆さん、次の人のことを考えて綺麗に使いましょうね。
その後、中盤戦に向けた準備。
背中のハイドレチェックを行うと、ここまでの消費量は800ml程度。まだ半分ほど残がありました。胸元のフラスクはほとんど手をつけていないので、月夜見まで水分の心配はなさそうです。
ここからはポールが使用可能。まだダメージはないですが、後半に足を残しておきたいので積極的にポールを使っていきます。
日没ももうすぐなので、ヘッドライトも装着し、進みます。
第1関門〜第2関門(月夜見第2駐車場・42.09km)
土俵岳〜丸山と進む頃にはすっかり真っ暗に。
ヘッドライトを点灯します。実は初めてなんですよね・・・これ使って夜間走行するの。
・・・結構暗いな。
明るさは2段階に変更できて、ハイパワーモードはかなり明るく見やすいんだけど、バッテリーが瞬殺されそうなのでローパワーで進むのですが、下りなどはなかなか怖い。
そこで、予備で持ってきたハンドライトを点灯すると、おぉ、だいぶ違う!
ここから先は、怖い箇所はハンドライト併用作戦で進むこととしました。
ちなみに夜間はよく霧が出るためフィルム等を使って黄色ライトにすると良い、と聞いていたのでハンドライトはその仕様で臨んでいます。
槙寄山を過ぎたあたりから、なんだか胃腸の調子が良くない。食べなきゃいけないのに受け付けません。
立ち止まり、何とかジェルを胃に放り込みます。
走れる箇所でもスピードが上がらず後続にどんどん抜かれますが、グッと我慢し進みます。
長丁場だから、今調子が悪くてもそのうち回復することを信じて。
天気は相変わらず良いものの、標高もあるので止まるとさすがに寒さを感じます。吐く息が白くなるほどだったのでアームカバーを装着し一息ついた後、すぐに前進。
大沢山から三頭山下りの1.9kmは19時以降歩行指定区間となっており、ペースダウンできたので胃腸の具合もだいぶ回復しました。
21:24、月夜見駐車場到着。
その名の通り月がよく見えました。
水2本とポカリ1本をいただき、ブルーシート横の椅子に座って後半戦の準備です。
ハイドレホースをしまい込み、ペットボトルをフラスクに移し替え収納。
脇にある白いテントはリタイアした場合入れるスペースになっており、中から声が。
「温かいもの飲むかい?味噌汁あるよ」なんて声が聞こえてきて、いいな〜と思うも、ここまで来たらやめられません。
疲れてはいるけど、まだまだ体は動きます。
よし、行きましょう。
第2関門〜第3関門(御岳山長尾平・58.00km)
月夜見から大ダワまでは試走で2回走っているので少し気が楽でした。
22:51、御前山頂着。
大ダワでトイレを済ませ、小休憩した後にラスボスの大岳山へ。
ゴツゴツした岩場の急登は疲れた体にキツイ。
0:43、大岳山頂到着。
ここからの下りが全コース中で一番苦手です。みんなよくスイスイと降りれるなぁ・・・
かなり時間を掛けて下った気がします。
綾広の滝で水500mlを補給し、長尾平へ。
第3関門〜フィニッシュ
写真を撮り忘れましたが、1:35、長尾平を通過。人家が見えるとホッとします。
神社を過ぎると綺麗な街の灯が。
テンションも上がり、日の出山まではペースアップ。2:01、日の出山頂到着。
ここからは全て下りだし、もう一息、と思ったところで問題発生。
ガーミンのバッテリーが切れました。
原因は・・・ライトの使い過ぎです。思えば月夜見過ぎた頃からずっと点けっぱなしだったかも。
まぁ仕方ない。スマホもあるし大丈夫でしょう。
・・・しっかし長い。日の出山からゴールまでこんなにあったっけ?
さっき街の灯り見えたのにいつの間にかまた暗闇に戻ってんじゃん。
なんてブツブツ言っている間に、何とか山を抜けました。
市街地を少し走り、ゴールがようやく視界に。
長かった・・・AM3:38にゴールです。
タイムは14:38:46。
目標には全然届きませんでしたが、完走できたことに安堵。
レース後
とりあえず出店でビールを見つけたので、まずはかけつけ一杯笑
疲れた体に沁みます。
そしてありがたいことに、秋川渓谷 瀬音の湯が出場者向けに夜間営業をしてくれているのです。入浴料はかかりますが。
ゴール付近から30分間隔でバスが運行されており、管理人も着替えを持ってすぐに向かいました。
泥だらけの体を洗い、露天風呂に浸かり一息。生き返る・・・
再びバスで会場に戻った後は、ランナー向けに振る舞われているけんちん汁をいただき、体育館で少し仮眠しました。
ゴール時間が予測できなかったので、寝袋持ってきておいて良かった。
仮眠後は、仲間を待ちます。
仲間と再びビールを飲んで笑、帰宅の途につきました。
ちなみにレース中に消費した補給食&ジェルは、
エネ餅1個、ライスピュレ りんごとはちみつ味1個、スポーツようかんあずき1個、メダリストコーヒー味2個、コーダマンゴー味1個、オレは摂取すグレープ味1個、塩飴3個 でした。思ったよりずっと少なめ。
胃腸が受け付けなかったのもありますが、前半はロクテイン(サミットティー風味)でカバーできてたのかもしれません。
カフェインが効いたのか、全然眠くならなかったし。
反省点
走力・・・は置いといて、
備品で改善点を挙げるとするなら、腰ライトが欲しいですね。来年出るなら確実に準備します。手も空くし。
後は、換えの電池も多めに、なおかつ交換しやすい場所に入れておくべきだと思いました。
やっぱり、足元の安全確認は大事ですよ。ハンドライト無かったら間違いなく死んでました。
後は、下りの下手さ笑
登りではほとんど抜かされた記憶がありませんが、下りでは数え切れないほど抜かされました笑
夜通しのレースにも関わらず、山中にもたくさんのスタッフがおり、運営に尽力していただきました。感謝です。
キツく、そして楽しいレースでした!ありがとうございました。
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