【書評】小出監督著書の「マラソンは毎日走っても完走できない」を引っ張り出しもう一度読んでみた

2020年9月20日

Qちゃんこと高橋尚子さんや、有森裕子さんなど数々のマラソン女子名選手を育てた名伯楽・小出義雄氏が80歳で死去したとのニュースがありました。

日本の女子マラソンを世界レベルまで連れていってくれた素晴らしい指導者でした。平成の内に旅立ってしまったのですね…謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

そういえば、管理人も一冊、小出監督の書いた本を持ってたなー、と思って本棚から引っ張り出し、久しぶりに開いてみました。

これです。

2009年第1刷発行なので、およそ10年前に書かれた本です。管理人が手にしてからも、少なくとも7,8年は経ってると思います。正直、いったん読み終わると、あまり読み返すことをしないタチなので内容はすっかり忘れてましたが、久々に読むと…めっちゃ参考になる!是非多くの人に読んでもらいたいので、ここでご紹介させてもらいます。

タイトル的に、フルマラソンが完走できないビギナー向けの指南書か?と最初は思いましたが、そんなことはないです。全く走ったことのない超初心者~サブスリーを目指す上級者までが役立つ内容になっていると思います。

第1章 走るための準備を整える

冒頭は、特に太っている人やランニングビギナーに向けた「体の準備」についての記載。

まずは、走れる体をつくること。超初心者はウォーキングから入り、早歩き→ジョギングと移行する中で、体重を減らし、筋肉を付けて、走れる体を作るためのメニューが書かれています。

これは管理人も賛同。全く運動をしていない状態から、いきなり走るのは絶対無理ってもんです。ウォーキングのトレーニングは、ちゃんとフルマラソンまで繋がっています。

第2章 脚と心肺に負荷をかける

続いては、「速く走る」ための練習方法について。

「毎日5km走っていた」「週末10km走っていた」という人が、いざ大会にでると撃沈するケースは確かによく聞くし、管理人自身も、初めてレースに出たときは後半ボロボロとなり、途中歩きながらやっとこさゴールした苦い経験があります。

毎日ゆっくりと同じペースでトコトコ走っているんじゃ、マラソンのトレーニングとしてはあまり意味ないよ、ということが書かれてます。

ハッ、としてしまいましたね…最近ジョグばかりだったから(汗)

マラソンに耐えられる脚づくり・心肺づくりをするためには、刺激を与える必要があって、どのようにすればいいかの練習メニューが紹介されています。

ポイントとして、週に1度は「全力走」メニューを入れ、負荷をかける練習とかけない練習の波をつくることの重要性について書かれています。毎日ゆっくり走るだけの練習にならないように、ぜーぜーと息を弾ませる時間帯をつくる工夫をする必要がある、と繰り返し書かれています。

シューズの選び方についても書かれてましたが、これはちょっとだけ内容が古いかな?エリートランナーは薄くて軽い靴って感じなので。

今はナイキの厚底シューズに代表されるように、厚くても軽くて反発のある靴が台頭しつつありますからね。一昔前の常識が変わってきています。

また、練習日誌をつけることの大切さについて書かれていました。

走った距離と時間、練習メニューなど、簡単なものでよいから日記をつける。練習の成果を忘れないためにも気づいたことをなんでもメモ代わりに書き留めておくことが大切で、しかも「書き続ける」ことが大事。そうすれば、後できっと役に立つ。

このブログもそんな存在にしていければいいなぁと。

第3章 レース出場に向けた練習メニューづくり

フルマラソンなどの長い距離を走りぬくために、どんな練習をすればよいのか?について書かれています。対象は一般ランナーなので、限られた時間の中で、いかに効率的な練習をするか、に主眼が置かれています。

時間が無くても十分に効果的なトレーニングはできる。たとえ30分でも効果的な練習は可能。時間がないなら30分でできる練習を考える。ってな感じです。

基本はスピード練習ですね。文章のところどころに「全力」という言葉がでてきます。インターバル走、ビルドアップ走、ペース走の練習組み立てについて書かれていますが、必ず途中で負荷をかける時間帯を組み込むメニューになっています。

ジョギングのためのジョギングに終わらせない」という言葉が胸にズシンと響きました。分かっているつもりでも、常に意識しないと楽をしがちになってしまうもの。反省。

第4章 メダリストたちのコンディショニング

レース直前の脚の仕上げ方について、メダリスト達のコンディショニングが紹介されています。レベルの高い話ではあるものの、取り入れていくと一般ランナーでもとても効果があると書かれています。

ポイントとしては、「脚への最後の刺激の入れ方」。

例えば、大会3日前に短い距離(2km程度でもいい)のタイムトライアルを取り入れる、などです。足に最後の負荷をかけておき、休養をとりつつも本番を迎える時に筋力が落ちないようにしておくのが目的です。

これには管理人も覚えがあり、以前に一度試してみたところ、レース後半でもさほどスピードが落ちず、気持ちよく最後まで走れた、ってことがありました。それ以来最後の刺激入れは必須にしています。

大会前だからって、極端に練習量を落とすだけではダメってことです。

まとめ

全編を通して、「練習に負荷をかけていく」ことの大切さが繰り返し書かれています。

結局のところ、楽して速くなる都合の良い方法なんてない、ということですね。Qちゃんや有森選手の練習量は凄まじかったですからね。

ただ、限られた時間の中でいかに効率的に負荷をかけるか、について分かりやすく書かれている本なので、読むと、やってみよう!という気にさせられます。是非多くの人に読んでもらいたい名著だと思います。

カスタマーレビューも評価高し。

Kindle版はお得ですよ。