マラソン選手の「プロ化」が増えている。プロランナーって?

2020年9月9日

公務員ランナーの川内優輝選手が2019年の5月に結婚することが明らかになったとの報道がありました。お相手は女子マラソンの元実業団所属・水口侑子さん。「マラソン婚」ですね。相通じるものがあるのでしょう。

おめでとうございます!末永くお幸せに!

ところで、川内選手と言えば公務員ランナーで名を馳せたわけですが、2019年3月いっぱいで埼玉県庁を退職、翌4月からはプロに転向し、マラソンに専念する環境をつくっています。

実は川内選手の他、多くの選手がプロ転向しています。日本ではあまり耳慣れない「プロランナー」、どういった職業なのでしょうか?

プロランナーとは?実業団とどう違う?

プロ野球選手は野球で食っているし、プロゴルファーはゴルフで食っています。

プロランナーは

走ることで食っている(=生計を立てている)

ということになるんでしょうね。

日本のマラソン選手の多くは、高校・大学を卒業した後、企業が運営する実業団に所属します。そこで午前中は会社の業務を行い、午後からは練習時間に充てる、といったスタイルが一般的です。あくまで会社員、というスタンスです。

しかしプロランナーは違います。

サラリーマンとして会社に勤めるのではなく、自らスポンサーを募ったり、会社を設立したりして、資金を得つつ活動するのです。

プロ宣言した選手

現在、多くの選手がプロ宣言をして活動しています。中でも有名なのが以下の方々。

大迫 傑

言わずと知れたフルマラソン日本記録保持者(2019年3月現在)。2時間5分50秒という素晴らしいタイムです。「大迫半端ないって!」はサッカーだけではありません。

佐久長聖高校→早稲田大学→実業団の日清食品グループを経て、現在はアメリカのナイキオレゴンプロジェクト」に所属、プロとして活動しています。

先日の東京マラソンはまさかのリタイアでしたが、潜在能力としては東京オリンピック候補の筆頭ですね。日本人らしからぬフォアフット走行が魅力。

<2020年3月追記>

2020年3月1日に開催された東京マラソンにて、自ら持つ日本記録を更新しました!2時間5分29秒です。いやー、カッコいい。管理人もテレビにくぎ付けでした。

神野 大地

青山学院時代は「山の神」として名を轟かせた神野選手もプロ宣言しています。所属はセルソース。

2019年の東京マラソンでは2時間11分5秒で日本人5位、全体8位とし、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権獲得を決めました。

藤原 新

日本人プロランナーの先駆けといったらこの人。ベストタイムは2時間7分48秒(日本歴代11位)、ロンドンオリンピックにも出場しています。

川内 優輝

2019年3月現在は埼玉県庁に勤める公務員ランナーですが、公務員でありながら知名度はピカイチ。多くの実業団選手に競り勝ち、そのひたむきさ・全力疾走ぶりが人気を博しています。2018年のボストンマラソンでは見事優勝も果たしました。

プロランナーはどのくらい稼げる?

収入源としては大きく2つあると思われます。

大会出場による賞金

大会に出場し、上位の成績をおさめることで収入を得られます。

野球やサッカーなどと違い体力の消耗が激しいスポーツなので1年間に出場できるレースにも限りがあるものの、大きなレースで優勝すると1,000~1,500万ほどの賞金をゲットできるといわれています。

ちなみに東京マラソン2019の賞金額は、優勝が1,100万円。以下はグンと下がってしまい、2位で400万、10位だと10万円まで下がってしまいます。

さらに世界記録・日本記録・大会記録による賞金が設定されている場合もあります。

しかしながらこれらの大会にはマラソンに強いアフリカ勢等も多く参加しており、上位入賞は至難の業。賞金だけをあてにプロとして活動するのは難しいでしょう。

スポンサー契約による収入

大会で好成績を残したり、知名度が高い場合は、スポンサー契約をすることで報酬を得ることが可能です。

短距離の絶対的王者だったウサイン・ボルトの2016年の年収は3,250万ドル(約35億円)に達しましたが、この9割以上が契約するプーマなどからのスポンサー料でした。陸上競技の選手は大会で活躍し自らの価値を上げ、良いスポンサーを獲得することが成功の鍵となります。

川内優輝選手などは、スポンサー契約の申し出が殺到しそうな気がしますけどね。競技に取り組む姿勢は見ていて応援したくなるし、スポーツメーカー以外でも起用しやすいキャラクターだと思います。

いずれにせよ、日本においてはまだプロランナーと呼ばれる人は非常に限られているので、どのくらい稼げるといった正確な算出は難しいというのが正直なところ。

まとめ

野球やサッカーなど、他のスポーツと比べて「プロ」を名乗る人が少なかったマラソン界ですが、最近のこうした動きは非常にうれしく感じます。

活躍し、人気が出ることで、ぜひプロランナーの地位を向上させてほしいし、それに触発されてアマチュアランナーも増えて、憧れる子供たちも増えて、といった好循環が生まれてくれれば素敵だな、と思っています。